フリーランスの職業で働く方々にとって、クラウドソーシングサービスを使用せずに直接企業と契約を結んで仕事を受ける方法があります。
フリーランスとして実務経験がある方であれば、直接契約の存在に気づいているかもしれません。
もしくは、フリーランスから直接契約の提案を受けたことがある企業の方もいるでしょう。
直接契約が未経験のフリーランスの方は、具体的にどのようなものか疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、直接契約について知りたいと思っている方のために、直接契約の概要や注意点について詳しく説明しています。
企業と直接契約することには利点がある一方で、トラブルの元にもなり得るため、慎重に進めることが肝心です。
フリーランスで働く上で知っておくべき、「直接契約」の詳細
フリーランスの仕事をしていると、「直接契約」というフレーズがよく耳に入ることでしょう。
この記事では、直接契約に関して以下の5つのポイントから詳しく解説していきます。
以下にわかりやすく表でまとめました。
項目 | 直接契約 | 間接契約 |
---|---|---|
定義 | フリーランスの個人や事業主が、クライアントと直接契約を結ぶこと。 | クラウドソーシングプラットフォームやフリーランスエージェントなどの第三者を仲介して、クライアントと契約を結ぶこと。 |
メリット | 仲介者がいないため、報酬額を全額受け取ることが可能。 | 詐欺などのリスクを軽減できる。エージェントが契約相手との交渉などを行うため、初めてのフリーランスには安心。 |
デメリット | クライアントと直接交渉する必要がある。不払いリスクがある。 | 仲介手数料が発生するため、手取り額が減少する可能性がある。 |
契約形態 | 委任契約、準委任契約、請負契約などが存在する。 | 同左。 |
注意点 | 詐欺などのリスクがあるため、クライアントの信頼性を確認する必要がある。 | 契約相手はエージェント会社であることを忘れず、引き抜きの話があった場合は注意が必要。 |
- 直接契約の定義とは何か?
- 直接契約と間接契約の違いとは?
- フリーランスにおける契約形態のバリエーション
- フリーランスエージェントを通じた契約は間接契約となる
- フリーランスエージェントを介した契約では引き抜きは注意が必要
直接契約の定義とは何か?
直接契約とは、フリーランスの個人や事業主が、クラウドソーシングなどのオンラインシステムを使用せず、クライアントと直接契約を結ぶことを意味します。
クラウドソーシングやエンジニアを紹介してくれるようなフリーランスエージェントを通じて仕事を受注する場合、通常、そのプラットフォームから手数料が差し引かれるため、手取り額が減少し、十分な収入を得られません。
しかし、直接契約を行うことで、仲介者がいなくなり、報酬額を全額受け取ることが可能になります。
その結果、フリーランスとして働く人々は、クライアントと直接契約を積極的に行い、より多くの収入を得ることが可能です。
直接契約と間接契約の違いとは?
直接契約は、フリーランスの個人や事業主がクライアントと直接、契約を結ぶことを指します。
一方で間接契約とは、クラウドソーシングプラットフォームやフリーランスエージェントなどの第三者を仲介して、クライアントと契約を結ぶことです。
間接契約の利点としては、第三者が仲介することで詐欺などのリスクを軽減できることが挙げられます。
ただし、仲介手数料やマージンが発生するデメリットも考慮しなければならず、どちらが適切な選択肢であるか判断する必要がある点に注意しましょう。
フリーランスにおける契約形態のバリエーション
フリーランスが他の事業者と結ぶ契約の形態には、以下の3つの主な種類が存在します。
- 委任契約
- 準委任契約
- 請負契約
委任契約や準委任契約は、フリーランスがクライアントの企業やオフィスへの出向が一般的な働き方です。
これに対して、請負契約は成果物の納品が条件となっており、在宅勤務を希望するフリーランスに適した働き方と言えるでしょう。
これらの契約形態は、直接契約と間接契約の2種類に分類されることが多いです。
フリーランスエージェントを通じた契約は間接契約となる
フリーランスが間接契約を結ぶ方法は主に2つあります。
それぞれ、クラウドソーシングを利用して独自に仕事を受注する方法と、フリーランスエージェントを介して仕事を得る方法です。
フリーランスエージェントを利用する場合、エージェントが仲介して仕事を紹介してくれるため、直接契約ではなく間接契約になります。
フリーランスエージェントを介した契約では引き抜きは注意が必要
フリーランスエージェントを利用していると、成果物を納品している企業から引き抜きの話があがることがあります。
この場合、直接契約となるため両者に手数料がかからず、一見するとメリットがあるように思えるかもしれません。
しかし、フリーランスエージェントを利用しながら引き抜きを受け入れることはタブーです。
エージェントを利用する場合は、契約相手はクライアントではなくエージェント会社であることを忘れてはなりません。
直接契約のメリットとその特徴
直接契約には以下の3つのメリットが考えられます。
手数料の問題が解消される
直接契約を行うことで、手数料が差し引かれることがなくなります。
クラウドソーシングの場合、システム料が必ず引かれるため、獲得できる報酬額が手数料分だけ減少する点がデメリットです。
例えば、ユーザー数が多いクラウドワークスでは、以下のような手数料が適用されます。
- 10万円未満 → 20%
- 10万円以上20万円未満 → 10%
- 20万円以上 → 5%
5万円を稼いだとしても、20%の手数料が引かれることで4万円に減ってしまいます。
手数料が引かれなくなるだけで収入が向上するため、直接契約はクライアント側にもフリーランス側にもメリットがあると言えます。
単価について自分で交渉できる
直接契約の場合、単価交渉を自分で行うことが可能です。
エージェントを介していると、単価や仕事内容はエージェントとクライアント側で決まってしまい、希望通りになることが難しい場合があります。
しかし、直接契約を行うことでフリーランス側は自ら交渉を行い、自分にとって有利な形で契約することができます。
仕事の範囲が広がる
直接契約を実施することで、クライアントとフリーランス側の間で直接契約が結ばれるため、さらに多種多様な仕事を依頼されることがあります。
関連業務や、企業が管理している子会社からの依頼など、クライアントとの関係性が強化されるでしょう。
これにより、クライアントとの信頼が深まり、より高額な仕事を受けることができる可能性が高まります。
直接契約のデメリット
一方で、直接契約にもデメリットが存在します。
主に以下の2点が考えられます。
受注に至らない場合
直接契約の場合、自ら営業活動を行う必要がありますが、営業が苦手な方は受注に至らないこともあります。
しかしながら、間接契約を通じて納品を続けて信頼関係を築くことで、最終的に直接契約に進展することもあります。
営業活動を行っても受注に至らない方は、間接契約を経由して直接契約を目指すなど、アプローチ方法を変更してみると良いでしょう。
営業スキルが不十分な場合
多くの方が営業スキルに自信がないことがあります。
直接契約を行う際には、企業やメディアに直接アプローチし、自分のスキルや能力をアピールすることが一般的です。
しかし、このアプローチ方法では、自己アピールや営業スキルが不十分であると、クライアントに注目されることが難しい可能性があります。
そのため、直接営業を行って契約を勝ち取るためには、ポートフォリオの作成や、分かりやすく印象的な自己アピール文の作成など、営業戦略を見直すことが重要です。
間接契約がもたらす利点
間接契約には、以下の2つのメリットが挙げられます。
詐欺や違法行為に巻き込まれるリスクが低い
間接契約には、仲介者が関与することによって被害に遭いにくいという利点があるため、詐欺や違法行為に巻き込まれるリスクが減ります。
一方で、直接契約では自分とクライアント間の関係であり、もし被害に遭った場合、補償を受け取ることが非常に困難です。
しかし、間接契約の場合は仲介者が存在することで詐欺が発生しにくく、もし被害に遭ったとしても相応の補償を受ける可能性が高まるのです。
このため、安全性を重視するなら、間接契約が安心できる選択肢となっています。
契約内容の齟齬を防ぐ調整が行われる
弊社のようなフリーランスエージェント()などを利用することで、クライアントとの契約内容に関する不一致が生じないよう、第三者が適切に調整してくれるという利点があります。
契約内容や報酬額など、独力での確認が難しい場合でも、仲介者が関与することで双方が納得できる契約状況を整えることができるのです。
間接契約の欠点
間接契約は安心できる面がメリットである一方、以下の2つのデメリットも存在します。
間接契約に伴う仲介手数料の発生
間接契約のデメリットとして仲介手数料が発生する点が挙げられます。
クラウドソーシングやエージェントを利用する場合、安全面でのメリットはありますが、報酬金額をすべて受け取ることができず、手数料が控除されます。
各媒体ごとにシステム手数料や振込金額に関する手数料の金額が異なりますので、いくら稼いだと思っても、手取り額が思ったより低くなることもあるでしょう。
間接契約は安心して仕事ができる反面、稼ぐことが難しくなりますので、フリーランスであれば直接契約を検討することがおすすめです。
契約成立までの時間が長いことがある
エージェントやクラウドソーシングの利用により、契約を結ぶまでに時間がかかることがあります。
これは、仕事が紹介された後、面談や話し合いを経て契約に至るプロセスを経るためです。
間接契約では、第三者が連絡係を務めることが多いため、「クライアントと直接話してすぐに決められるのに」と感じることがあるでしょう。
契約までの時間が長く、仕事の進行が遅れることも、間接契約のデメリットと言えます。
直接契約に向いている人の特徴
直接契約に向いている人は、以下の特徴を持っています。
- 交渉力や営業力があること
- 契約時の連絡や事務作業ができること
- ビジネスメールの書き方がわかること
- 手数料を節約したいと考えること
- 仕事の幅を広げたいと思っていること
直接契約の場合、クライアントとのやり取りは自分だけが行います。
言葉遣いや報連相が適切で、ビジネス関係を構築できる能力を持っている人には、直接契約が適しています。
また、手数料がもったいないと感じる方には、直接契約を選択することで手取り額が増えるため、直接契約を検討することがおすすめです。
直接契約に適さないタイプの人はこんな人たち!
一方、直接契約が適していない方々は、主に以下のような特徴を持つ人たちです。
- フリーランスとしてのキャリアが浅く、仕事の進め方や流れに不安がある
- 営業活動やクライアントとの交渉が苦手である
- 事務的な連絡やスケジュール管理が得意ではない
フリーランスとしての経験が少ない方が、すぐに直接契約に取り組むのは困難なケースが多いです。
直接契約を結ぶ方法はどのようなものがある?
直接契約を成功させるためには、次の4つのアプローチが一般的です。
企業にアプローチする
企業と直接やりとりを行い、直接契約を成立させる方法が考えられます。
そのためには、次のステップに従って進めていくことが望ましいでしょう。
- 自分のスキルセットが活用できる企業をリサーチする
- 企業に連絡を取る際、ポートフォリオを添付してアピールする
- 好意的な返信がもらえた場合、契約詳細について話し合う
- 契約書類の作成に取り掛かる
ビジネスメールのマナーを守り、丁寧なコンタクトを心掛けましょう。
あなたの実力をアピールするためにも、ポートフォリオは予め用意しておくことが重要です。
知り合いの紹介を利用する
人間関係を活用して、知り合いから紹介してもらうという方法もあります。
知り合いから紹介された仕事であれば、業務の雰囲気やクライアントの人柄が把握できるため、安心して契約を締結できるでしょう。
ただし、この方法はフリーランスの仲間がいない場合や人脈が疎い場合には難しい面があります。
クライアントとの信頼関係を構築する
間接契約を結んでいたクライアントとの信頼関係を築き、直接契約に切り替えるという方法も考えられます。
この方法では、実績だけでなく、クライアントと良好な関係を築く努力が必要となります。
間接契約から直接契約への移行は、打診が容易であり、信頼があるからこそ実現できるものです。
日々のコミュニケーションや納期遵守の姿勢を大切に、真摯に仕事に取り組むよう心がけましょう。
ソーシャルメディアを活用する
ソーシャルメディアを利用して直接契約の打診を行うこともできます。
Twitterなどでは、フリーランス向けの仕事募集を行っている企業も多く、直接契約の打診が容易です。
ソーシャルメディアを活用することで人脈を拡大し、そのつながりを通じて他の仕事も獲得しやすくなります。
将来的にクライアントを確保するためにも、ソーシャルメディアでの人脈作りを目的として仕事を探すのも良い方法でしょう。
業務委託契約書は、直接契約時に絶対に作成しましょう
直接の契約を行う際には、必ず業務委託契約書を作成することが重要です。
信頼関係があるクライアントであっても、契約内容に不一致が生じると、問題が発生する可能性が高まります。
業務委託契約書には、以下の要素を含めることが一般的です。
契約タイプの明確化
契約タイプを文章ではっきりさせましょう。
業務委託には通常、準委任契約と請負契約が存在し、どちらの契約形態を採用するかを明確に決定します。
フリーランスエンジニア、ライター、イラストレーターなどは、請負契約が一般的です。
依頼内容の詳細な記載
仕事の内容や範囲を具体的に記述しましょう。
クライアントとフリーランスの間で認識の相違が生じず、納品物が期待通りであることを確実にするため、依頼内容を詳細に記載することが重要です。
さらに、想定外の業務が発生することも考慮し、「その他、別途合意した業務内容」についても明記しておくことが望ましいです。
契約の期間
契約期間を設定することが、委任契約においては大切です。
自動更新にすると契約書の更新が不要になり、手間が省けます。
納品物の権利について
フリーランスが納品物の権利を譲渡できるように、契約書には権利の取扱いを明記しましょう。
特にイラストや写真などの著作物に関しては、権利に関する双方の同意がないとトラブルが生じる可能性があるため注意が必要です。
著作権の譲渡について、契約時点で明確にすることが重要となります。
報酬に関する合意
報酬計算方法や支払い方法、支払い日などを明記しておきましょう。
手数料の有無、文字単位の報酬額、納品物ごとの報酬額などを具体的に記載することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
報酬の受け取りタイミング
報酬の支払日に関しては、明確に記載することが重要です。
支払い日が曖昧だと不安を感じるため、固定の支払いルールを設定することが大切となります。
フリーランスが依頼を受ける側としては、報酬の支払いを早く受け取りたいと思っているので、月末締めで翌月末支払いが一般的な支払い日です。
諸経費に関する規定
諸経費に対する条件を定めておくことが重要です。
特に業務委託契約では、交通費の上限やその他の費用に関して、あらかじめ取り決めをしておくと良いでしょう。
責任者の明確化
責任を負う者を明確にしておくことが大切です。
裁判などのトラブルが発生した場合、誰が責任を持つのか明確にしないと、問題解決の際に責任者が不在になってしまうことがあります。
また、成果物に問題があった際も、責任者が決まっていないと適切な対処ができません。
トラブルが発生しないことが最も望ましいですが、万一のケースも考慮しておくことが重要です。
法令遵守の確認
例えば、企業がフリーランスに対して適正な報酬を提供しているか、立場の差を利用した強要などが行われていないかなどを確認することが大切です。
フリーランスと依頼する企業間には、立場の差が大きいことが一般的です。
その立場の差を利用されないよう、契約書を用いて適切な調整を行ってください。
禁止行為の明記
禁止行為についても明確に記載することが大切です。
例えば、他の競合他社の仕事を受けることが禁止されている場合など、契約書に明記しておくことで、フリーランスの自由な行動をあらかじめ抑制することができます。
業務委託契約書がないとトラブル発生のリスクが高まる
業務委託契約書がない場合、トラブルの要因となることがあります。
通常、企業間で直接取引を行う際には契約書を作成して業務を進めますが、企業と個人の間での取引では契約書を作成せずに仕事を進めることも多々あります。
しかし、現代ではコンプライアンスやハラスメントに対する意識が高まっており、契約書が存在しない状態での契約は、双方に不利益をもたらす可能性高いです。
まとめ|フリーランスとして実績を持ち、信頼を得ることで直接契約が最適な選択!
直接契約は、フリーランスとクライアント双方において利点が多く存在します。
何よりも手数料が引かれず、双方が納得のいく報酬で取引が可能となるのが最大のメリットです。
ただし、直接契約においては業務委託契約書の作成を確実に行うことが重要です。
信頼関係を築いて直接契約を締結した場合でも、契約書が存在することで両者間における安心感が生まれます。
直接契約へ至るためには、まず間接契約を通じて信頼を勝ち取り、その後に直接契約を締結する手法が適切であると言えます。
クライアントに信頼される存在となるべく、日常の業務対応や報連相を丁寧に行いましょう。
さらに、お互いに誤解が生じないよう、快適に働ける環境作りに努めることも大切です。
積み重ねた実績と信頼を土台として、フリーランスとして自分の価値を高め、より良い条件で仕事ができることを目指しましょう。